PROFILE

休日は一日中アニメを観て過ごすことが多いというインドア派のSさん。ただ、仕事になると細かいところによく気がつく観察力の持ち主で、自分で見つけた工夫をさりげなく周りに共有する繊細な一面もあります。2025年にEVERYFOODに新卒入社し、現在は愛知県内の病院で管理栄養士として2年目を迎えています。

「向いているかわからない」まま進めた就活

管理栄養士の資格は取得したものの、資格を活かして実際にどう働くのか、日々の業務の姿が具体的にイメージできませんでした。「本当に自分に向いているんだろうか」という迷いを抱えたまま、就職活動を進めていました。

学校には委託給食会社の説明会や講演会がよく来ていて、周りにも委託に進む友人が多い環境でした。臨地実習の配属先がEVERYFOODの事業所だったことも大きく、実習中に栄養士の方がフレンドリーに声をかけてくれたのが印象に残っています。病院の実習で緊張していた時期だったので、その気さくさにだいぶ救われました。

入社の決め手になったのは、EVERYFOODのオンラインワークショップでの体験です。1週間分の献立を見て改善点を提案するという内容で、私は前日の夕食と翌日の昼食でメインの魚が続いていることに気づきました。学校で学んだ栄養バランスの知識から、たんぱく質源の偏りを避けるためにずらした方がいいと発表したところ、採用担当の方が丁寧に褒めてくれました。学校で学んできたことが実際の現場でどう活きるのか、この時初めて実感できた気がします。「ここなら自分の知識を使って働ける」と思えたことが、EVERYFOODを選んだ理由です。

小さな工夫を見つけて、共有していく

学生時代の居酒屋でのアルバイトでは、管理栄養士の知識を使う場面はありませんでしたが、愛嬌や信頼関係が仕事をスムーズにすることは身に染みて感じていました。入社してからも、仕事を覚えるのと同じくらい、周りとの関係づくりは大切にしています。

先輩のやり方を観察して自分に合う方法を見つけたら、さらに自分なりの工夫を加えてみる。それが私のスタイルです。たとえば食札を点線に沿ってちぎる作業があるのですが、最初はスピード優先でビリビリに破れてしまい苦労しました。ある時、先に折り目をつけてからちぎると綺麗にできるだけでなく、作業全体もスムーズに進むことがわかりました。先輩にも世間話のついでに「折り目をつけるとやりやすいですよ」と共有しています。自分で見つけた工夫は、できるだけ周りにも広めたい。周りの人が少しでも仕事しやすくなるならという気持ちからです。

そうした積み重ねもあってか、最近では刻み食の加工について「これくらいの大きさで大丈夫かな」と意見を求められる場面が増えてきました。食種や食形態の種類が多い事業所なので、一人では判断が難しいことも多く、そのやり取り自体が日々のコミュニケーションになっています。

厨房と病棟が離れている—ミスの重みが違う

今の事業所は、厨房と病棟が離れたセントラルキッチン方式です。調理した食事はトラックで病棟まで運び、現地で加熱して提供する流れになっています。

この距離が、独特のプレッシャーを生みます。もし盛り付けや食札にミスがあれば、厨房から病棟まで歩いて届け直さなければなりません。往復するだけで10分から15分。その分だけ後の作業にも遅れが出るので、一つのミスの影響が連鎖的に広がっていきます。食種やカロリーごとの分類も多く、トレイメイクの最終チェッカーを務める早番では、正確さとスピードの両立が求められます。

最初の頃は目標時間を大きく超えてしまうことが何度もありました。食札に書き込まれた分類コードを一つずつ覚え、事務所に貼ってある資料を何度も見返しながら、少しずつ身体に叩き込んでいきました。パートナーさんから「すごい、早くなったね」と声をかけてもらえた時は、自分の成長を素直に実感できた瞬間でした。

顔を知らない患者さんから届いた「ごちそうさまでした」

セントラルキッチンで働いていると、患者さんと直接顔を合わせる機会はほとんどありません。やりがいを感じる場面が多いかと聞かれると、正直に言えば少ないです。

それでも、自分たちの仕事の先に患者さんがいるのだと感じられる瞬間はあります。この病院では選択食のアンケートを紙で患者さんに配っていて、退院される方がそこに感想を添えてくれることがあるのです。「毎日おいしくいただきました。ごちそうさまでした」。そうしたメッセージは厨房内の掲示板に貼り出され、スタッフの間で共有されます。

顔も名前も知らない方からの言葉ですが、それを目にした時は厨房の中がほんの少し明るくなる感じがします。普段は食札と向き合い、分類を確認し、チェッカーとしてミスがないか目を光らせる日々ですが、その一つひとつの正確さが、最終的には誰かの食事につながっている。そう思えるようになったのは、こうした言葉のおかげです。

ハロウィンのパンプキンシチュー_初めての献立で届けたいもの

今年の秋、初めて行事食の献立作成を任されることになりました。担当はハロウィンです。通常の献立は3週間サイクルで決まっていますが、行事食は普段出ないメニューを考えられる貴重な機会です。先輩からは「マンネリ化しているから、新しいものを考えてほしい」と言われています。

今考えているのは、パンプキンシチュー。普段の給食にはない見た目の楽しさを出したいと思っています。でもそれだけではなく、季節感のある美味しいメニューを患者さんに味わってもらいたいという気持ちもあります。調理師の方と「これはできる?」「金額的にどう?」と相談しながら、少しずつ形にしていく予定です。

顔の見えない患者さんに、食事で季節の楽しさを届ける。自分に向いているかわからないまま始めたこの仕事ですが、今はこのハロウィンの献立にワクワクしている自分がいます。