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2025.5.19

調理師免許に更新はない|見落としがちな2年ごとの義務とは

調理師免許に更新制度はありません。一度取得すれば運転免許証のように期限が切れることはなく生涯有効です。ただし、飲食店や給食施設など、対象となる施設・営業で調理の仕事に就いている調理師には、2年ごとに提出が義務づけられている書類があり、見落としている人も少なくありません。この記事では、更新の要否から、2年ごとの届出、氏名が変わったときなどの名簿訂正・書換えの手続きまでを整理して解説します。手続き方法は自治体によって異なるため、愛知県と岐阜県を例に、その違いもあわせて紹介します。

調理師免許に更新は必要か|有効期限と失効の有無

調理師免許に更新の手続きは必要ありません。一度取得すれば生涯有効で、有効期限も設けられていません。
運転免許証のように数年ごとに更新の案内が届くことはなく、手続きを忘れて失効するということも起こりません。

免許が使えなくなるのはどんなとき?

更新による失効はありませんが、次の場合には免許の効力がなくなります。

・免許の取消処分を受けたとき
調理師法に定められた事由により免許が取り消された場合です。この場合は5日以内に免許証を返納する必要があります。
・本人の申し出により名簿登録を消除したとき
自ら申し出て調理師名簿から登録を消除する手続きです。あわせて免許証を返納します。

いずれも特別な事情によるもので、通常どおり働いている調理師が該当することはほとんどありません。

ブランクがあっても免許は有効

調理の仕事から何年も離れていた場合でも、免許の効力に影響はありません。再び調理の仕事に就くときも、あらためて手続きをする必要はなく、そのまま調理師として働けます。
ただし、対象となる施設で調理業務に復帰した場合は、次に説明する2年ごとの届出の対象になります。

更新の代わりに義務づけられている「2年ごとの届出」

対象となる施設で調理の仕事に就いている調理師には、2年ごとに「調理師業務従事者届」を提出する義務があります。
調理師法第5条の2に定められたもので、更新制度がない調理師免許において、唯一の定期的な手続きです。

調理師業務従事者届とは

対象となる施設で調理業務に従事している調理師が、2年ごとに就業状況を都道府県に届け出る制度です。

項目 内容
対象 対象施設で調理業務に従事している調理師
(パート・アルバイトを含む)
頻度 2年ごと
基準日 12月31日現在の状況
提出期限 翌年1月15日まで
届出先 就業地の都道府県

届出の対象になる施設

次の施設で調理業務に従事している調理師が対象です。

給食施設
寄宿舎・寮、学校、病院、事業所、社会福祉施設、介護老人保健施設、矯正施設など、多数の人に飲食物を調理して提供している施設
営業施設
飲食店営業、魚介類販売業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業など

勤務先が給食会社であることだけで一律に対象となるわけではありません。実際に調理業務に従事している施設・営業が、届出の対象に該当するかを確認する必要があります。

届出が必要ないケース

次の場合は届出の必要がありません。
ひとつは、基準日である12月31日の時点で調理業務に従事していない場合です。退職しているなど、その日に調理の仕事をしていなければ対象外になります。
もうひとつは、調理業務に従事していても調理師免許を持っていない場合です。この届出は免許を持つ調理師の就業状況を把握するためのものなので、無資格で調理業務に携わっている方は対象になりません。

次回の届出は2027年1月

届出は2年ごとの偶数年が対象年度です。2026年(令和8年)12月31日現在の状況を、2027年1月1日から1月15日までに届け出ます。
提出先は就業地の都道府県です。都道府県によって、調理師会などの団体が指定届出受理機関として窓口になっている場合もあります。電子申請を受け付けている自治体もあるため、勤務先を管轄する都道府県の案内を確認してください。

なぜ届出が必要なのか

この届出は、就業している調理師の人数や就業先の状況を国や自治体が把握するために行われています。把握した情報は、調理師を対象とした研修事業を円滑に実施するために使われます。
調理師の資質向上と、それを通じた国民の食生活の向上を目的とした制度です。手間に感じるかもしれませんが、調理師という資格の価値を保つための仕組みでもあります。

氏名や本籍地の都道府県が変わったときの手続き

結婚などで氏名が変わった場合や、本籍地の都道府県が変わった場合は、変更から30日以内に調理師名簿の訂正を申請する必要があります。免許証の記載事項に変更がある場合は、免許証の書換え交付を申請することができます。

名簿訂正・免許証書換え交付申請

項目 内容
必要な場面 氏名、本籍地の都道府県名、性別、生年月日が変わったとき
期限 変更から30日以内
申請先 免許を交付した都道府県

必要な書類(愛知県の場合)

愛知県で免許を取得した方の場合、次の書類が必要です。

1. 調理師名簿訂正・免許証書換申請書
2. 戸籍抄本(謄本)※変更内容の記載があるもの・発行から6か月以内
3. 調理師免許証
4. 理由書(30日を超えている場合に、遅れた理由を記入)
5. 手数料 3,400円

複数回にわたって氏名や本籍が変わっている場合は、除籍謄本など変更の経緯がすべて確認できる書類が必要になります。登録時から現在までの流れをたどれるよう、あらかじめ本籍地の市区町村に確認しておくと手続きがスムーズです。

30日を過ぎてしまったら

期限を過ぎても申請はできます。ただし、愛知県や岐阜県などでは、遅れた理由を記した理由書の提出が求められます。

結婚や転居が重なると後回しになりがちですが、免許証の記載と現在の氏名が違うままだと、就職時に本人確認で手間が生じることがあります。気づいた時点で手続きを済ませておくのが確実です。

申請先は「免許を取得した都道府県」

注意したいのは、申請先が現在の住所地ではなく、免許を交付した都道府県だという点です。
免許を取得した都道府県から引っ越している場合も、手続きは免許を交付した先に対して行います。県外に住んでいる方向けに郵送での受付を行っている自治体もあるため、まずは交付元の都道府県に確認してください。

手続きの方法は自治体によって異なる

調理師免許の手続きは、都道府県ごとに運用が異なります。隣り合う県でも違いがあるため、自分の免許を交付した自治体の案内を確認することが欠かせません。
ここでは愛知県と岐阜県を例に、どのような違いがあるのかを見てみます。

項目 愛知県 岐阜県
手数料 3,400円 3,400円
支払い方法 愛知県収入証紙
またはキャッシュレス決済
窓口でのキャッシュレス決済、またはオンライン納付(クレジットカード・PayPay等)
郵送申請 県外在住者のみ可
(県内在住者は窓口のみ)
可
(返信用に別途640円)

手数料は同じでも、支払い方法が違う

書換えの手数料はどちらも3,400円ですが、支払い方法が異なります。愛知県は収入証紙またはキャッシュレス決済、岐阜県は窓口でのキャッシュレス決済か、クレジットカードやPayPayによるオンライン納付です(郵送申請の場合はオンライン納付)。
とくに岐阜県では、岐阜県収入証紙が廃止されました。販売は2025年12月31日に終了し、手持ちの証紙も2026年9月30日をもって使用できなくなっています。現在はキャッシュレス決済やオンライン納付での支払いになります。
以前に免許を取得したときは証紙を買って貼り付けた、という方も多いはずです。免許取得時と同じ方法がそのまま使えるとは限りません。なお、使わずに残っている証紙は2030年12月31日までは買戻し(還付)を請求できますので、破棄せずにとっておきましょう。

郵送できるかどうかも自治体次第

岐阜県は郵送での申請を受け付けていますが、愛知県は県内に住んでいる方の郵送申請を受け付けていません。窓口に出向く必要があります。
逆に、愛知県外に住んでいる方は郵送での取り扱いが可能です。免許を取った県と現在の住所によって、取れる手続き方法が変わります。

このように、隣接する県でも運用は同じではありません。手数料の金額、支払い方法、郵送の可否、処理にかかる日数のいずれも、自治体ごとに確認が必要です。申請前に、免許を交付した都道府県のホームページで最新の案内を確かめてください。

免許証をなくした・汚したときの再交付

調理師免許証を紛失した場合や、破損・汚損した場合は、再交付を申請できます。期限の定めはなく、必要になったときに手続きができます。

再交付申請の概要

項目 内容
必要な場面 紛失、破損、汚損したとき
期限 特になし(随時)
手数料(愛知県の場合) 3,800円

必要な書類(愛知県の場合)

1. 調理師免許再交付申請書
2. 再交付理由書
3. 亡失を証する書類(火災によるり災証明書など、取得できる場合)
4. 破損・汚損の場合はその免許証
5. 手数料 3,800円

窓口では本人確認が必要になるため、運転免許証やマイナンバーカードを持参してください。

再交付のときに知っておきたいこと

・免許証が出てきたら5日以内に返納
再交付を受けた後になくした免許証を発見した場合は、5日以内に返納届を提出します。2枚が手元にある状態を避けるための手続きです。

・名簿訂正と同時なら手数料は再交付分のみ
紛失した免許証について、氏名や本籍の都道府県の変更手続きもまだの場合は、名簿訂正申請書を同時に提出します。この場合、手数料は再交付分だけで済みます。

・旧姓併記や国籍変更は別途手数料
再交付とあわせて旧姓の併記を希望する場合や、帰化などで国籍が変わった場合は、書換え交付の申請も必要です。この場合は再交付と書換えの両方の手数料がかかります。

調理師免許にまつわる手続き一覧

ここまで紹介した手続きを、必要になる場面ごとに整理します。期限が定められているものもあるため、該当したときは早めに確認してください。

手続き 必要な場面 期限
調理師業務従事者届 対象となる施設で調理業務に従事しているとき 2年ごと
翌年1月15日まで
名簿訂正 氏名・本籍地の都道府県等が変わったとき 変更から30日以内
書換え交付 免許証の記載事項を変更するとき 随時
再交付 紛失・破損したとき 随時
返納届 取消処分/再交付後に免許証を発見 5日以内
名簿登録消除 死亡・失踪宣告 30日以内
名簿登録消除 本人の申し出 随時

このうち、働いている調理師が定期的に行うのは調理師業務従事者届だけです。ほかの手続きは、氏名が変わった、免許証をなくしたといった出来事があったときに必要になります。

名簿登録消除のうち、死亡や失踪宣告による場合は戸籍法上の届出義務者が30日以内に申請します。本人の申し出による消除には期限の定めはありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 調理師免許を更新しないとどうなりますか?

A. 更新制度はなく、更新しないことによる失効はありません。一度取得した免許は生涯有効です。運転免許証のように有効期限が設定されているものではないため、更新の案内が届くこともありません。

Q2. 何年も調理の仕事をしていませんが、免許はまだ使えますか?

A. 使えます。ブランクがあっても免許の効力に影響はなく、再取得や再登録の手続きも必要ありません。そのまま調理師として働くことができます。ただし対象となる施設での調理業務に復帰した場合は、2年ごとの調理師業務従事者届の対象になります。

Q3. パートやアルバイトでも届出は必要ですか?

A. 必要です。調理師業務従事者届は雇用形態を問いません。対象となる施設で調理業務に従事している調理師であれば、パートやアルバイトでも届出の対象になります。

Q4. 結婚して名字が変わりました。すぐに手続きが必要ですか?

A. 変更から30日以内に名簿訂正の申請が必要です。30日を過ぎても申請はできますが、愛知県や岐阜県などでは、遅れた理由を記した理由書の提出が求められます。免許証の記載と現在の氏名が異なると、就職時の本人確認で手間が生じることもあるため、早めの手続きをおすすめします。

Q5. 免許を取った県と、いま住んでいる県が違います。どこで手続きしますか?

A. 名簿訂正・書換え・再交付は、原則として免許を交付した都道府県が窓口です。現在の住所地ではありません。県外に住んでいる方向けに郵送での受付を行っている自治体もあるため、交付元の都道府県に確認してください。

Q6. 受験のときに出した「調理業務従事証明書」と同じものですか?

A. 別のものです。調理業務従事証明書は、調理師試験を受けるために必要な実務経験を証明する書類で、免許を取る前に勤務先から発行してもらいます。一方、調理師業務従事者届は免許を取得した後に、就業状況を都道府県へ届け出るものです。名称が似ているため混同しやすいので注意してください。

Q7. 食品衛生責任者の講習と、調理師免許の更新は関係ありますか?

A. 別の制度です。調理師免許に更新はありませんが、食品衛生責任者には定期的に受講できる「実務講習会」があります。

調理師免許を持っている人は、養成講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます(栄養士や製菓衛生師なども同様です)。そのうえで食品衛生責任者として選任された場合は、新しい知識を身につけるための実務講習会を定期的に受講することが努力義務とされています。
「調理師は更新が必要」と聞いたことがある場合、この実務講習会と混同している可能性があります。受講の頻度や案内の方法は自治体によって異なるため、勤務先の所在地を管轄する保健所や食品衛生協会に確認してください。

Q8. 届出の用紙はどこで手に入りますか?

A. 調理師業務従事者届の様式や届出方法は、就業地の都道府県が案内しています。

就業地の都道府県のホームページからダウンロードできるほか、都道府県によっては調理師会などの団体が窓口となって配布している場合があります。電子申請を受け付けている自治体もあるため、まずは勤務先を管轄する都道府県の案内を確認してください。

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